のつづき
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江戸時代に土御門家の直弟子だった人物が、古代中国の原書の日本語版として書いたものがある。
しかし、江戸時代から現代とでは日本語自体がだいぶ変わっているため、そのままでは意味がわからないものも多い。
今回吉方位から取り寄せた書籍の中には、その現代語訳版もあった。
それらからわかることは、方位や宅相の発端は、漢の時代に官学とされた儒学の経書に起こる賢人の伝えで、
一家の行く末、人の富貴、 貧富、寿命の長短に係わる根本であって、小さな事ではないということ。
方位学として日本で最もメジャーなものとして九星気学があるが、
九星が出てきたのは江戸中期、今から2、300年程度で歴史は浅く、それまでは干支でやっていた。
元々、干支は天皇家のもので、天皇家で天文を計算していたお役人が、田植えの日とかいつ収穫すればいいとか、庶民に命令してきた。
新嘗祭がその儀式の一つ。
暦がだんだん正確になると、誰がみてもいつ種を植えて、いつ収穫すればいいかがわかるようになり、
天文の計算をしていたお役人は仕事が少なくなって、食べられなくなった。
それで天皇家の運勢だけでなく、庶民の運勢を見るようになった。
それが街に流れていった。
しかし、元々天皇家の教えだったものが街に流れて俗化していったのか、
その時代にも、方位神を騙っていたり、古いやり方を盗んで自説としたり、
異論を唱えて妄りに宗派を作る者がいたり等、
未熟で研究・経験不足の者が横行して、人に方位を示しては人々を惑わしていたという。
その人物は土御門家の直弟子としてかなり勉強家だったようで、
聖人の正しい教えに沿わない事を異端とし、
異端の類のものをかなり学んだが実となるものはなかったとしている。
その上で、占いの道に宗派を分けて正しい教えが衰退していってよいのかと嘆いている。
さまざまな原書と呼ばれるものがある。
例えば、「欽定協紀辨方書」というものがあるが、「欽定」とは「国が定めた」という意味で、古代中国の国家認定の本。
しかし、それらの中の理論には本物があれば偽物もあり、
著者が原書の日本語版を書くにあたって諸々の文献を見たところ、干支を間違えているものが最も多くみられたという。
それらは河図洛書※の本当の意味を暗くしているとしている。
※河図洛書
古代中国で瑞祥(吉兆)や受命(天の命を受けること)のシンボルとされた神秘的なダイヤグラム。
《河図》は黄河から出現した竜馬の背に,
《洛書》は洛水から出現した神亀の背に、
それぞれ描かれてあったという。
また一般的に九星気学では、年月盤を重視して方位を取るが、これは戦後の混乱期に、暦が乱れた時期があったことで正確な日時盤が起こせなくなり、年月盤のみで鑑定する手法が主流になったことが背景にあるようだった。
流通している高価な暦にも、年月盤のみで日時盤の起こし方は掲載されていない。
年月盤は地球の公転と関連し、日時盤は地球の自転と関連する。
年月盤の九星を見て旅行等の方位取りをしている人も多いが、1週間程度までの国内小旅行では日盤の影響くらいしか出ないという説もある。
自分でも独自に方位盤プログラムを作って検証したところ、誰もが知るような交通機関の事故は日時盤での凶方位で起きているものが多く、自分でも日時盤の凶方位が重なった方位ではトラブルがよく起きることを確認している
そもそも“九星”というのは、北斗七星である
貪狼星(どんろうせい)=一白水星、
巨門星(こもんせい)=二黒土星、
禄存星(ろくぞんせい)=三碧木星、
文曲星(もんごくせい)=四緑木星、
廉貞星(れんていせい)=五黄土星、
武曲星(ぶごくせい)=六白金星、
破軍星(はぐんせい)=七赤金星
に、
左輔星(さほせい)=八白土星、
右弼星(うひつせい) =九紫火星
を加えた九星を意味している。
九星ごとに様々な意味が内包されており、取った方位によってその九星の象意が表れやすいが、あくまで表面的な事象に過ぎず、吉凶は干支にあるとされる。
その干支から派生した多数の吉神・凶神が存在する。
九星気学を世に広めたのは園田真次郎という人物だったが、師匠を同じくするライバルがいて、その人物は干支をやった。
簡易で理解しやすい、表面的な象意を表す九星だけで見る方法が現在最もメジャーな方位学となっている。
干支は暦として利用され、農業との関わりが強く、農作物を育てる際の季節や天候の目安とされた。また五行も内包する。
その意味では地球との調和のための指標とも言えるかもしれない。
方位盤からその干支の要素が消失し、地球の自転と関連する日時盤が混乱をきたしたというのは、言ってみれば、まるで現代人が表に顕れるものに価値を置くがあまり、地球との調和を欠くようになったということが、暦と方位盤の世界にも及んでいたことを象徴するような出来事でもある。
手に入れた文献の中には、
方位神で余計な偽物は取り除いていること、
方位の道には秘伝の中でも特に重要な秘密や、不思議な作用の中に優れた働きをするものを分別する必要があることなどが書かれていた。
その上で、
「この書は、いい加減な説を作って人を迷わせるものではなく、天下の幸福と未来永劫の世のためである」
とし、
「この書を読み、 もしあなたが今まで勉強したことと違う点があれば、それはあなたが間違っているということです。」
と、述べている。
これらの記述を見る限り、いわば方位の審神者本とも言える内容だった。
※審神者…古代の神道の祭祀において、神託を受け神意を解釈して伝える者のこと。ここでは真偽を問う見極めの意味。
白川神道は、審神者を養成する古神道とも言われているとのことだったが、
その白川神道の、祓い・鎮魂イベントに参加した直後にこのような方位の審神者本と出会うのも、それを象徴しているように思った。
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